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2008年6月21日 (土)

「兵士ピースフル」

 ちょっとした事情で、本年度の読書感想文の課題図書(もちろん高等学校の部)について、とある刊行物にコメントを書くことになった。締め切りが迫っているので、放課後の少し余裕がある時にとりあえず一冊読んでみることにした。3冊あるので「どれにしようかな、…」などと適当な選び方でまず「兵士ピースフル」を手に取った。

 読み終わってしばらく身動きが取れなかった。さすが全国の高校生に読ませようという本だけある。結末直前までは、戦争残酷物語としてはむしろ穏やかな描写が続く。文体もまるで児童文学のようであり、本当に高校生向きなのかな、と油断させられる。それだけに、ラストシーンがこちらに伝えようとしているものと、そこで始めて気付かされる物語全体に仕組まれたものとの相乗効果で、読後に圧倒されてしまう。

 明らかに非日常的な題材でありながら、思わず感情移入させられてしまうのは、この本が持っているテーマが、現代的な意味を持っているからだろう。その点、芥川の「羅生門」とか漱石の「こころ」等の定番的教科書教材にも通じるところがある。物語が内包する「虚構の読者」は、現実の読者であるわれわれと一見かけ離れているようで、実は一直線に我々一人一人を名指ししている。

 原題の『プライベート ピースフル』は、映画『プライベート ライアン』のアンチテーゼとして意識的につけられたもののような気もする。
 実は他にもいろいろ考えたのだが、これ以上書くとネタバレになってしまいそうだ。まさか、こんなブログを参考に読書感想文を書く生徒もいないだろうが、このへんで戯言はやめておくことにする。
 
 さあ残り2冊!読むのがなんだか楽しみになってきた。(いや正直なところ、なかば義務的に読書するのはちょっとつらかったので^^;)

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