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2008年11月30日 (日)

「幸せのレシピ」

 この手の明らかに女性をターゲットとした映画は当たり外れが大きいような気がする。「幸せのレシピ」は大当たりだった。登場人物の設定や演出のバランスが絶妙である。なによりストーリーがすばらしい。いい映画はたとえ落ちが予定調和的であっても、心を揺さぶる力を持つ。

 (ネタバレのオンパレード)映画の冒頭で、いかにもキャリアウーマンといった主人公がセラピーを受けるシーンが出てくる。セラピストが「君のボスはなんで君をセラピーさせるのかね。」と主人公に語りかけるが、これに始まるセラピーのシーンが遠近法的に物語を紡ぎ上げていく。
 主人公は母親を幼い頃に失っていた。そして父親と「一緒の食事もしない」生活をしながら、「誰かが作ってくれる料理」を毎晩食べながら成長してきた。レストランの料理長になって、忙しい日々を送っていたある日、自分の家に遊びに来ようとしていた姉が自動車事故で亡くなってしまう。主人公は幼い姪を引き取って暮らし始めるが…。

 不必要に大げさな演出もなく、不必要にドラマチックな展開もない。それだけに細部まで作り手の思いが行き届いているのがはっきりとわかる。
 姪の女の子は、主人公を演じたキャサリン・ゼタ・ジョーンズの表情から繊細な部分だけを取り出して、一人の人間にしたような存在だ。たぶん意識的にそのようなキャスティングがなされているのだろう。
 少しかっこよすぎる男主人公も、父親に対する不信感がそのまま人間不信につながっている主人公のこころを解きほぐす存在として、絶妙のバランス位置にいる。

 たぶん人は、他者とふれあう過程で、他人の心をのぞき込むと同時に、自分の心の奥をものぞき込んでいる。時にはのぞき込んだ結果としてそこに化け物を見出すこともあるのかも知れないが、ふたを開けなければ「希望」を見出すことはできない。

 そういえば最近この日記の記事にも来客の多い「いけちゃんとぼく」にも似たような要素がある。あの物語は「ぼく」の主観に基づく物語であると同時に、「いけちゃん」の主観に基づく物語でもあるのだろう。最初からそういう意味で「『いけちゃん』と『ぼく』」という題なのかも知れないが。 

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コメント

『マーサの幸せレシピ』のリメイクですか?

投稿: 未来 | 2008年11月30日 (日) 15時16分

多分そうだと思います^^;
そちらの方はまだ見てなくって…。この前どこかの放送局でやってましたね。見逃しちゃいましたが、次は見るつもりです。

投稿: 熊男 | 2008年11月30日 (日) 19時21分

通りすがりの者です。
ちょくちょく拝見させてもらってました。
コメントなどせず
スイマセン(._.)_
おもしろくってつい(笑)
もしよければ
またやってきます(o・v・o)

投稿: 旅人 | 2008年12月 4日 (木) 20時49分

コメントありがとうございます。よろしければもなにも、いつでもいらっしゃって下さい^^

投稿: 熊男 | 2008年12月 4日 (木) 20時59分

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