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2011年3月20日 (日)

床屋マーク

 だいぶ落ち着いてきたような気がする。世の中ではなくて自分の頭の中の話だ。「今」を全力で生き、これからおそらく押し寄せてくるだろう生活上、経済上の負担を黙って引き受けること、それが今の自分にできる世の中への最善の関わり方だと思う。

 この一週間ニュースを見ながらぼんやり考えていたことを書いてみる。大体ぼんやり単純作業などをしている時に、私は突拍子もないことを思いつくのだ。

 私の「戯言」の中で確実に言えることはなんだろうと考えた。
 脳内でのステレオグラム合成は現実に存在する。人が両目で捉えた異なる視覚を、くっきりとした輪郭を持つ一つのものとして認識することは、いつでも確かめられる疑いようもない事実である。反響しているはずの音を一つの音として認識してしまうこともその一つだろう。
 ずれているはずのものを、ずれのない一つのものとして認識する能力を、私たちは確実に持っている。その能力を、この瞬間に刺激を受けた「今」と、ほんのわずか前に受けた刺激による「過去」の残像にも適用していると考える。つまり脳内における「今」と「過去」の3D合成という訳だ。それによって時間の流れと同時に、擬似的な時間の幅をも、知らず知らずのうちに我々は認識している。

 脳内で「今」と「過去」のずれの隙間をどのようにして埋めているのだろう、と考える過程で「ハウリング(同じ刺激に反応するニューロン群が互いに互いを刺激しあいながら反応をループさせることを勝手にそう呼んでいる…)」を発想した。つまり、のべつまくなく同じ刺激に反応するニューロンが発火し続け、ニューロンの発火のサイクルである0.3秒の幅の活動電位の平均値として「現在」が成立し、その中に「今」と「過去」がまんべんなく同時存在する。それによって常に「今から過去へと時間が流れている」状態を創り出しているのではないかと考えたのだ。

 しかし最近、脳のあちこちで小さな単位で「ハウリング」に相当するような連続的な振動が起きているという話を、ツイッターでの会話で知った。「脳波」もその一つである。波であるからには、高い部分と低い部分がある。

 それで「ハウリング」は「床屋マーク」的に推移しているのではないかと考えた。

 床屋マークというのは、床屋の看板の、円筒に描かれたらせん模様が回転して、せり上っていくように見えるあれである。
 脳波はニューロン群の活動電位の波だ。それが一定の間隔で波打つわけだ。例えばアルファ波は0.1秒間隔だから、こんな感じになっていると想像した。(以下の「+」は、ステレオグラム合成を意味する。)

今この瞬間の刺激C+0.1秒前の刺激B+0.2秒前の刺激A

↓0.05秒後

0.05秒前の刺激C+0.15秒前の刺激B+0.25秒前の刺激A

↓0.1秒後

今この瞬間の刺激A(※)+0.1秒前の刺激C+0.2秒前の刺激B

※ ニューロンの再発火までのサイクルは0.3秒だからAは振り出しに戻っている。

 さて、こういうシンプルなニューロン群の発火パターンは、以下の点で理論モデルとして利がある。
 同じ刺激に反応するニューロン群が、のべつまくなく発火し続けているという理論モデルでは、それが脳内のどのようなシステムによって明確な輪郭のあるひとつの「現実」として認識されるのかという点の、理論的な確証が弱い。
 それに対して、一つひとつ明確なイメージを持った過去の「残像」が、脳内でいくつか重なり合っているという理論モデルであれば、ずれた「二つの」視覚映像を一つのものとして認識するという脳の機能が現実に存在する以上、仮説自体の現実性も飛躍的に高まる。

 「床屋マーク」でいえば、ニューロン群の発火間隔0.1秒は、らせん模様の白い部分と言えるだろうか。模様がぐりぐり動き続けることで、実際には「動き」などない固定されたらせん模様が、ぐりぐり上に向かってせり上がっているように見える。それによって安定した時間の流れを我々に感じさせている。


追記

 様々な周波数の脳波(ニューロンの振動)がある点がやや引っかかっているが、一定のリズムで「ずれ」続けることが安定した時間認識を生んでいるのだと考えている。が、正直そのへんはまだ屁理屈としてもよくわかっていない。
 脳内におけるステレオグラム合成は現実に存在するが、それがどのような脳内のシステムによってなされているのかについてはさっぱりわからない。自分でも不思議だが、今まで一度も調べようとしていなかった。暇なときに調べてみるか…。
 床屋マークの連想自体は、「錯視」の本を読んでいて思いついた。前にも書いた『別冊日経サイエンス 知覚は幻』(P82)。


 

 

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