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2011年4月 2日 (土)

「The Fall 落下の王国」 と「ハウルの動く城」

(ネタバレ注意)

 「ザ・セル」の監督の作品と聞いて、たぶん暗い作品だろうと思い、ずいぶん前に録画したままハードディスクの中で眠らせていた。さらにさわりを観たときの印象で、なんとなく「パンズ・ラビリンス」を連想してしまったため、観るのには心のエネルギーが必要な作品なのかなと思って躊躇していた。「パンズ・ラビリンス」は、後味がかなり悪かったのだ。基本的にはハッピーエンドが好きなのである。

 これは面白かった。すぐに「ハウルの動く城」を思い出した。プロットが同じだなあと。

 人は、誰でも自分なりの物語を持っている。それらの物語は、人がそれぞれ自分の人生を歩んでいく過程で、心の中で無意識のうちに書き綴っていったものだ。
 異なる人生によって書き綴られた異なる物語が出会った時、不思議なことが起きる。それぞれの現実と切り離せないはずの物語が、現実を離れて融合し始め、一つの物語になってしまうのだ。

 ハウルの城には誰も入ることが出来ない。ハウルの城はよく見ると、右心房左心房大動脈その他、リアルな心臓の形をしている。心臓は心の象徴であろう。ハウルは自分の心を要塞化し、誰も入れようとしなかった。そんなハウルの城に、老婆になる呪いをかけられたソフィーが入り込む。二人が共同生活を続ける内に、城の魔法の扉は、少しずつ今までと違う場所へと二人を導き始める。城はまずソフィーの故郷の家につながる。そしてそこからハウルの幼い頃の思い出の場所へとソフィーを誘う。生活を続けるうちに、二人はいつしか共通の敵を相手に戦い始める。自分の心に入り込もうとする真っ黒な他者の幻影と戦い続ける。城の壁は砕け散り、ソフィーから水をかけられ、燃えていたハウルの心臓は丸裸になる。しかしその時失われていたハウルの心が心臓に帰り、ソフィーは若さを取り戻す。

 「落下の王国」の主人公達もそれぞれの物語を持っている。恋に破れて絶望した男と、父親を殺された小さな女の子。男は、自分の現実をモチーフとして、女の子の気に入るような物語を語り始める。それは女の子をだますための物語だった。ところが彼の語る物語は、少しずつ女の子の持っている物語と融合し始める。その結果として、彼は自分の現実を反映した絶望的な結末を語れなくなってしまう。その結末を語ることは、女の子の物語の結末を絶望的なものにすることと同義なのだ。男が結末を語り終えたとき、彼ら二人の現実にも変化が生まれる。

 人と人とのつながりは、それぞれの物語の融合であると、実際時々思うこともある。
 まあどこかの熊の物語は、ちょいとややこしすぎるかも知れないが。

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