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2013年1月27日 (日)

コアロープメモリ

 「コアロープメモリ」というのは以下のようなものだ。(写真はウィキペディア「コアロープメモリ」のものをお借りしました。)

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 架空の本『時間認識という錯覚』、第三章「意識の実体」で私は、次のように書いた。

「この時心の中で「音」はどのような状態にあるのだろうか。自分の周囲を眺めるだけで言葉が脳の中に響くのであれば、例えそれが実像を持たない脳の機能の一部としての音であったとしても、瞬時に積み重なって飽和状態になってしまうはずだ。だがここで発想を逆転させ、むしろ音は我々の脳の中で恒常的に響き続けていると考える。それは日本語であれば5種類の母音と10種類の子音、合計15種類の音だ。本書前項にて、ジュウシマツが脳の中で待機状態にある音素群をランダムに選び取りながら歌うことについて述べた。我々の脳も同様に、言葉を構成する基本的な音素に反応するニューロン群をループ反応させ、待機状態にある。後は認識する対象を指し示す言葉の音素構成に従ってそれらのループ反応を連関させ、脳の他の機能に出力するだけである。待機状態にあるからこそ、瞬時にそれらの脳の機能につながることができる
 わずか十五種類の音素でも、その組み合わせで様々なイメージと劇的につながり合う。言葉は言わばデジタル情報のようなものだ。たとえば「いぬ」と「いす」は一つの音素の違いしかない。それらの言葉は同じ音素については、対応するニューロン群のループ反応を共有している。共有することによって、脳の中で響く音を単純化し、様々な言葉が脳内に並立すること、則ち複雑な現実を認識したり、複雑な思考をめぐらせることを逆説的に可能にしている。コンピューターが実際には0か1、オンかオフかの二進法の言葉で動いていることを考えれば、それほど奇異なことではあるまい。前項で、単語の文字の順番をでたらめにしても認識可能であるという例を挙げ、脳の中の音素が並立状態にある可能性を述べた。並立しているのであれば、脳の中で同一の振動数の音に反応するニューロン群が共有されていると考える方がむしろ自然であろう。」

 で、この前NHKの「コズミックフロント」という番組で、アポロ計画の特集を見ながら、ふと当時のコンピューター用のメモリである「コアロープメモリ」と、人の脳の中の言葉を認識する仕組みが似ているのではないかと思いついた。
 「コアロープメモリ」は、現代人ならSDカードとかでおなじみの記憶媒体の一種である。もちろんコンピューターのごく初期の段階のものだから、SDカードのようなスマートなものでなく、見た目もごつい。その分、メモリーの機能が感覚的にも理解できやすいと感じる。
 「コア」とは穴の空いた磁石で、これが何十個、何百個も並んでいる。穴の空いた磁石に、コードが何本も通されている。この通し方に工夫があって、1つのコードが全てのコアの穴を通過しているわけでなく、所々コアの外側を迂回するように配線されている。これに電流を通すと、コアの中を通過している部分が「1」、通過していない部分が「0」として出力されるわけだ。(やや説明不足なのは自覚しているが、少なくともNHKの番組の説明はそんな感じだった…)

 で、脳内のニューロン群が言葉に反応する様子はこれに似ていると思うのだ。

 任意の言語を身につけた人物の脳内には、その言語体系が基本構造として持っている音素に反応するニューロン群が、外からの聴覚刺激をエネルギー源として恒常的にループ反応している。それらの音素の一つひとつは、「コアロープメモリ」のコアの一つひとつだ。
 脳内の「コア」には相互に配線があって、それがその言語体系の持つ言葉の数だけ存在する。ニューロンだけで1000億、それに一つひとつのニューロンのシナプスを掛けると天文学的な数字になるぐらいだから、その程度の「配線」はむしろ脳の構造の中ではシンプルなぐらいだろう。
 ある言葉を聞くとき、言葉を構成する複数の音素すべてにつながった「配線」がアクティブになる。そして、関連する脳の他の機能、例えば視覚情報等に瞬時にアクセスされる。
 初めて聞く言葉を認識する場合は、辞書的にその言葉を説明する語群全てをアクティブにして、一時しのぎするように他の脳の機能に連関させるが、それが度重なるに従ってその言葉を構成する「コア」を直接つなぐ配線ができあがる。いわば反復学習で短期記憶が長期記憶に変わるように。

 で、上記の話を架空の本に追加するかどうか検討中である。(いまさらはったりであることを躊躇する意味もないので多分追加してしまう…^^;)

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