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2014年4月 5日 (土)

経路積分-ファインマンは量子の正体が「球状の波」だと考えていたはずだ-

 今から書くことが全くの私の想像でないことを証明するために引用を見つけておいたつもりだったのだが、書こうと思いついてからかなり時間が経ってしまったために、どの本のどの辺に引用に適当な内容が書かれているかがわからなくなってしまった。確実なのは『ファインマンさんの流儀』(早川書房)を読んでいる最中に思いついたということだけである。記憶をたどりながら書くので、ひょっとしたら内容が正確ではないかもしれない。また他の書籍やネット記事の影響もあるかもしれないが、結論自体は私自身が考えたことだ。そのことは最後まで読んでみればわかるはずだ。(こういうご時世だからあらかじめお断り申し上げておく)。

 「二重スリット実験」という実験がある。量子力学という学問領域を象徴するともいえる実験である。このカテゴリのきっかけとなった日経サイエンスの『光子の逆説』という記事の内容でもあるのであれこれ説明する必要はないだろうが、簡単に説明すると以下のような感じだ。

 スリット(細い隙間)を縦に二本開けている厚紙を用意し、それに向かって光子(光の粒)を一つ飛ばす。それを何度も何度も繰り返す。光子はどちらかのスリットを通って後ろの壁に点々と光の痕跡を残していく。
 スリットが二本筋だから、後ろの壁に残った光の痕跡も二本筋のはずである。それなのに、後ろの壁にはまるで二つの波が鑑賞し合ったかのような縞々模様が描き出される。光子の粒一つひとつが、まるで自分自身の影と干渉するかのように、まるで二つのスリットを同時に通過するかのように、干渉縞を残すのである。

 これを説明するために、後に別の研究でノーベル賞を取るリチャード・ファインマンが次のように考えた。

 光子はまっすぐに進むわけではない。光子が発射されてから二重スリットを通過して後ろの壁に到達するまで、それらの間の空間のありとあらゆる経路をたどる。そして右のスリットを通る経路と左のスリットを通る経路とで干渉し合って、干渉縞を創り出す。それら全てを計算すれば、二重スリットの謎が解けるはずであると。そうして考案されたのがありとあらゆる経路を足し合わせる「経路積分」である。実際にこの計算法は実験的事実(確率的な出現率)を正確に予測することができた。
 また、ありとあらゆる経路をたどるといっても、極端に遠い回り道については遠くになればなるほど確率的に考えてほとんど考慮する必要がなくなっていくはずだともファインマンは言っている。

 さて、この「経路積分」の考え方によって、一つの光子が発射されてからスリットの後ろの壁にたどり着くまでの様子をイメージしてみよう。それは、「確率的に考えて」、中心ほど濃く、遠く離れるほど存在確率が薄くなる球状になるはずだ。

 ファインマンは量子(光子)の正体が球状の波であると、最初から考えていたのではないか?
 

追記

 ファインマンは様々な学問領域に顔を出して、その分野の研究者にアドバイスをしたりしていたそうだ。「量子の正体は球状の波」というアイディアには、「光速で移動する光子の波の伸縮過程で、構造的に光速を超える部分が発生する」という、他の分野の理論基盤を脅かしかねない決定的な瑕疵がある。ファインマンの性格から考えて、そのような事態を避けるために「光子がありとあらゆる経路をたどる」といった荒技をひねり出したのではないか、と想像してみたりもする。
 さらに若い頃にファインマンは、素粒子同士の干渉は時間の流れをさかのぼって原因と結果の関係が逆転するなどとも言っているらしい。これもまた経路積分と同様、他の領域の基本原理を否定してしまわないための無理な配慮が生んだ考え方のような気がしてならない。

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