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2015年8月31日 (月)

陽子のスピンの由来 -フェルミオンとダークフェルミオン-

 「スピン」とは一体何なのか?

 素粒子が持っている「スピン」は、我々が日常目にする「回転」とは異なるはずだ。遠心力を生み出す回転は、実際には複数の慣性系が結びつき、合成された結果として存在している。それが「遠心力」という見かけの力を生み出している。そのようにネット限定の『時間認識という錯覚:第六章』で書き綴ってきた。しかし、「純粋に単体の存在」である素粒子のスピンが、遠心力を生み出すような「回転」であるはずがない。素粒子が純粋にそれ自体としての存在であるためには真球であるべきだと語ってきた。それが真球の振動である「球状の波」という発想の一つの根拠になっている。

 ところが、「陽子(ハドロン)」のスピンについて、日経サイエンス8月号のクォーク特集の次のような記事を目にした。以下の「歳差運度」についての記事内容はMRI等の動作原理にもなっているらしい。

「ハドロンを強磁界中に置くと、スピンの値に応じて異なる向きの首振り運動(歳差運動)と円運動をする。」(P39)

 これは私には非常に奇妙に思えた。
 少し前のブログ記事「ボゾンとフェルミオン ー「スピン」とは何かー」で書いたように、「スピン」は我々の日常の「回転」と比べた時に、その計測された数値上の特徴の一部が円運動と共通しているだけの、別物であると考えていた。そしてその実態は「球状の波」であるというのが私の主張であった。しかし上記の日経サイエンスの記事は、「スピン」が(少なくともハドロン-陽子-に関しては)我々の日常の「回転」に近い存在であることを示している。

 しかし、この陽子の「首振り運動」の奇妙さは、私自身の発想との違いなどからくるものではない。

 我々の日常でスピンするものを例として考えてみる。例えば独楽は回転エネルギーを与えられて初めて回転する。そして、接地部分や空気との間に起きる摩擦などの抵抗によって勢いを弱らせ、やがて止まってしまう。
 天体は半永久的に回転しているように見えるが、これは真空中を漂うためにエネルギーを減少させる要素がないからである。

 しかし、「首振り運動」をする陽子は強磁界によって外からの影響を受けている。受けているからこそ、その状態を「首振り運動」に変化させている。そう考えると、回転する独楽がやがて止まってしまうように、陽子も止まってしまうはずだ。それなのに陽子は止まらない。

 可能性があるのは、陽子が地球ごまのように二重構造になっていて、外殻と内部構造とが独立してすれ違うように回転しているという考え方だ。そう考えれば、「外殻」を強磁界で固定されても、内部構造は回転を続けることが出来る。しかし、そのような回転を半永久的に持続させるエネルギーはどこから来るのか。陽子はまるで永久機関のようだ。

 その構造を説明するためのアイディアを思いついた。

 以下のイラストとアニメーションは、そもそも「ダークフェルミオン」を説明するためのものだ。「ダークフェルミオン」は実在しない粒子であって、用語自体が借り物みたいなものだ。
 このブログ記事の文脈では、「球状の波」が収縮限界近くで収縮するのに必要な空間の「リソース」を「奪い合い」ながら半永久的に振動し続けるのを通常のフェルミオンと説明してきた。
 その逆に、伸張限界近くで「リソース」を「押しつけ合い」ながら振動し続けることによっても粒子状態を持続できることを証明する目的で示したのが「ダークフェルミオン」である。この説明は、「反重力物質」の存在可能性をつなぐ意味で必要なものだった。(これは客寄せパンダみたいなものでもあるから)

 それでアニメーションを作ってみて気がついた。このハドロン(陽子)の中の3つのクォークが、互いにリソースを奪い合い(押しつけ合い)ながら、限界近くで振動し続ける様子は、まさに地球ごまの二重構造のスピンではないかと。
 「球状の波」としてのクォークそれぞれは、「第六章」で語ってきた質量発生のシステムによって、慣性運動的にその場にとどまっている。 とどまったまま「リソース」を奪い合い(押しつけ合い)、順番に収縮(伸張)限界近くまでの接近を繰り返し、ほんのわずかずつ質量を変化させ続けている。その動きを生み出しているのは一つ前の記事で示したようなエネルギー損失のない半永久的な「球状の波」の振動であるため、スピンを生み出すような機構を新たに付け加える必要がない。3つのクォークは本質的には慣性運動的にその場にとどまり続けているから、外からの影響を考える必要がない。

 下のイラスト(アニメーション)は、陽子(ハドロン)のスピンそのものを説明しているのではないか?

「フェルミオンとダークフェルミオン、または陽子のスピン」のアニメーション


Darkfermion

→ 追加アニメーション「陽子の『スピン』」

Protonspin


補足

 拙著『時間認識という錯覚』及びその第六章で語ってきたように、スピン(回転)であれば何に対する「回転」なのか、動きであれば何との関係に基づく「動き」なのかという、ニュートン・ライプニッツ以来の未解決問題と対決しなければならなくなる。
 その点、3つのクォーク(球状の波)がリソースを奪い合いながら、実際にはそれぞれの位置を動いていない、すなわち慣性状態であるにもかかわらず、見かけ上ぐるぐるスピンしているというアイディアは、上記の問題と対決する必要がないという点で有効なアイディアと言えるはずだ。

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