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2016年10月23日 (日)

君の名は。名前とともに記憶はよみがえる。(ネタバレ注意)

ネタバレ超注意^^;

 ツイッターで延々つぶやいていたように、わたしゃ「君の名は。」にはまってしまって、最初に見てから数週間は経つというのに、未だに一日の大半をこれをぼっけーっと考えながら過ごしている。わたしゃ流行っているからって闇雲にそれを追っかけ回すような人間ではない。例えば「アナ雪」はまだ観てなかったりする。

 何しろ興収150億円を超えるような映画だから、当然映画マニアから分析し尽くされているんだろうし、そもそもテーマが(一見)分かりやすく作られているので、分析だ何だってわざわざ書く必要がなさそうだ。

 それでも一つだけまだツイッターなどのネタバレ分析で読んでないような気がする点を書いてみる。

 それは、ラストシーンの後、記憶が戻ったのかどうかということだ。

 私は戻ったと思う。

 「千と千尋の神隠し」が流行った頃、私も映画館に何度か足を運んだが、そもそも興味を持ったきっかけは、「千尋」が名前を奪われるシーンを宣伝で見たからだった。「千尋」は名前を奪われることによって「千」となり、それによって現実世界の記憶を失っていく。(確かそうだったと思うが、久しぶりに見直すかな…)
 
 名前を奪われることによってアイデンティティをもはぎ取られるという話は、他にもある。安部公房が芥川賞を獲得した短編集『壁』の表題作品がそれだ。
 『壁』の主人公は、ある時名前を失ってしまう。会社に行くと「自分の名前」が勝手に仕事をしており、主人公は現実世界における居場所を失ってしまう。それから異常な出来事の数々を経て、最後に主人公は「壁」そのものになってしまう。

 名前とは一体何だろうか。

 名前とは、人のアイデンティティそのものだ。

 特に現代社会においては、人の名前は信じられない勢いで一人歩きし始める。一人歩きどころか一人全力ダッシュである。ネット時代は、良い噂も悪い噂も、体感スピードをはるかに超えて一瞬のうちに世界の果てまで伝わっていく。

 もちろんそういった情報の力は、現代社会において我々が手にした物の中で最も強力なツールの一つであることは否定できない。我々は「心が体を追い越した状態」から後戻りすることは出来ない。

 一方で、我々が生身の人間であることもまた確かな事実だ。

 だから我々は心と体が分裂したような状態で生き続けなければならない。

 知ることは出来ても、手を伸ばすことが出来ない様々な出来事。他者とつながり合いたいという気持ちが強ければ強いほど、必然的に心は体から離れていく。

 「君の名は。」の主人公達は、自分の心を自分の体から極限まで引き離し、それによって不可能を可能にしてしまう。しかし、それは当然の帰結として心と体の乖離を生む。名前は奪われる。体は奪われた名前を探し求める。あくがれた魂を呼び戻そうとするように。

 しかし、心と体は離れているだけで、そのどちらとも失われた訳ではない。

 名前が取り戻されれば、その全てが戻ってくるのだ。千が千尋に戻れたように。記憶はよみがえる。

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